anal-fistula Eye-catching image

 

自分ではなかなか患部を確認することができず、また、恥ずかしい部位なのでなかなか受診をためらってしまう肛門病変。

そんな中でも激しい痛みをともなうこともある痔瘻

放置しておくと癌が生じることもあるという、大変怖いものです。

今回は痔瘻(読み方は「じろう」英語表記で「anal fistula」)について

  • 原因
  • 症状
  • 診断
  • 癌化
  • 治療
  • 根治
  • 再発
  • 入院期間
  • 手術費用

などを、詳しくご説明していきたいと思います。

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痔瘻とは?

anal-fistula

痔瘻とは、肛門の付近に膿を生じる穴が開いた病変のことで、その穴のことを瘻管(ろうかん)と言い、肛門管や肛門周囲の皮膚に生じます。

痔瘻は別名「穴痔」とも呼ばれます。

肛門周囲膿瘍でできた膿が、直腸や肛門と交通ができてしまい、外に膿が排出されるようになったものが痔瘻です。

医師
痔瘻前に起こる、肛門周囲膿瘍についてご説明します。

肛門周囲膿瘍とは?

perianal-abscess

歯状線という肛門を締める部分には、深さ1mm程度の小さなくぼみがあります。

そのくぼみに細菌が侵入して、肛門線という分泌器官で感染症となり、膿をともなう膿瘍を形成した状態を肛門周囲膿瘍(英語表記で「perianal abscess」)といいます。

症例 50歳代 男性

perirenal abscess

肛門5時方向にT2強調像にて淡い高信号の液貯留あり。
拡散強調像(DWI)で高信号、ADCにて信号低下を認めており、膿瘍形成を疑う所見です。

肛門周囲膿瘍と診断されました。

痔瘻の原因は?

軟便(下痢)により、肛門線に細菌が侵入し、感染することが原因となります。

また、クローン病潰瘍性大腸炎の合併症として起こることもありますが、免疫が低下している時に起こりやすいともいわれています。

痔瘻の症状は?膿が出ることがある?

 

痔瘻になる前の肛門周囲膿瘍や初期の痔瘻では、下痢をともないます。

それが1〜2日経過すると下痢症状だけではなく、痔瘻が形成され、その痔瘻が悪化すると

  • 痛みが増す(激しい痛み)
  • 膿が出る
  • 38度を超える高熱
  • 肛門周囲のしこり
  • 発赤(腫脹)

といった症状をともなうようになり、排便時以外にも痛みを感じ、膿がたまると熱が上がるともいわれています。

痔瘻の診断は?

  • 視診(目で見て判断)
  • 触診(触って判断)

が基本ですが、場所によってⅠ型〜Ⅳ型に分類されます。

痔瘻の分類

anal fistula 8

Ⅰ型 皮下または粘膜下痔瘻
Ⅱ型 L 低位筋間痔瘻
H 高位筋間痔瘻
Ⅲ型 肛門挙筋下痔瘻
Ⅳ型 肛門挙筋上痔瘻

 

中でも、7〜8割という高頻度を占めるものが、Ⅱ型Lの低位筋間痔瘻です。

この分類は隅越氏によって考えられたもので、「隅越による分類」と呼ばれます。

また、その他の検査方法として、MRIで痔瘻を確認することもあります。

このMRI検査は、最近多く使われるようになり、痔瘻の位置を正しく把握できたり、触診でも判断しかねる場合等には画像診断は有効です。

症例 30歳代男性

anal fistula MRI findings1

肛門の背側、右側の後方に瘻孔形成あり。
T2強調像で隔壁は低信号で内部は高信号になっています。
脂肪抑制造影T1強調像で高信号が目立ちます。

Ⅱ型Lの低位筋間痔瘻と診断されました。

症例 40歳代男性

anal fistula MRI findings2

左側皮下後方に瘻孔形成あり。

こちらもⅡ型Lの低位筋間痔瘻と診断されました。

痔瘻から癌ができることがある?

痔瘻じたいは良性で細菌感染したものなのですが、痔瘻を繰り返し慢性化した痔瘻から、癌へと変化する(痔瘻癌)ことも中にはあります。

治療だけでなく、治療後も痔瘻にならないための予防が必要ということがお分かりいただけるかと思います。

症例 70歳代 女性

anal fistula cancer

腹部造影CTで、肛門の後ろ側に巨大な腫瘤性病変を認めています。
手術の結果、痔瘻癌と診断されました。

痔瘻の治療は?

治療薬として細菌性疾患でもあるため、抗生剤や鎮痛薬を使用することもありませんが、それでは完治になりません。

手術による外科的治療が原則となります。

医師
その手術にはいくつか方法がありますので、手術名と合わせてご説明いたします。

痔瘻結紮療法(読み方は「じろうけっさつりょうほう」seton法)

anal fistula 4

シートン法とも呼ばれ、瘻管にゴムを通し、少しずつ縛っていき、時間をかけて痔瘻を切り離します。

括約筋へのダメージも少なくいため、クローン病の合併症例にも有用です。

切開開放術(lay open法)

anal fistula 2

開放術と呼ばれ、痔瘻の全部を開放または切除します。

後方の痔瘻に対しておこなうことが多いものの、痔瘻の深さや場所によっては肛門の機能が低下してしまったり、変形をきたすこともあるため、おこなえない場合もあります。

括約筋温存術(coring out)

anal fistula 3

くり抜き法とも呼ばれ、瘻管をくり抜き、皮膚上で膿が出てくる口となっていた部分を閉鎖させます。

前方や後方の痔瘻に対しておこなわれることの多い治療法です。

根治手術とは?

根治手術には、痔瘻結紮療法(シートン法)が有用とされています。

また再発を繰り返し、慢性化すると癌化することもあると述べましたが、再発後の手術にも根治手術としてすすめられています。

術後の再発は?

痔瘻は細菌によるものなため、今までと同じようにしていると、再発することもあります。

つまりは、便通コントロールを改善し・清潔に保つように注意し、再発を予防することが重要です。

痔瘻の入院について!

医師
入院期間や費用についてご説明します。

入院期間

日帰り手術が可能な病院もありますが、通院を必要としますし、すぐに社会復帰できるわけではありません。

術後の痛みもともない、自宅療養をする必要があります。

患部をつけて座れないため、手術後の傷の具合や経過観察のためにも、痔瘻の程度や手術方法によっても異なりますが、10日ほどの入院を必要とすることが多いようです。

手術費用

痔瘻の手術費用は、手術方法や程度によっても大きく開きがあります。

というのも、痔瘻が一箇所だけに留まらず、二箇所にできていたりすると、それだけ費用もかかります。

軽度なもので4万円ほどで済みますが、複数になると15万円ほどかかる場合もあります。

また、この費用には入院期間中のベッド代・食事代は含まれないため、高額となることが予想される場合は、高額医療費控除申請をしておくと、窓口での支払い金額を一定額以内におさめることができます。

最後に

  • 肛門の付近に膿を生じる穴が開いた病変のことを痔瘻という
  • 細菌が侵入して、肛門線という分泌器官で感染症となり、膿をともなう膿瘍を形成した状態を肛門周囲膿瘍という
  • 肛門線に細菌が侵入し、感染することが原因
  • 激しい痛みや膿が出る、発熱といった症状が出る
  • 痔瘻の分類の中でも、7〜8割という高頻度を占めるものが、Ⅱ型Lの低位筋間痔瘻
  • 慢性化した痔瘻が、癌化する場合もある
  • 痔瘻は、手術が原則
  • 再発もあり得るため、再発予防も重要

 

痔瘻は原因を突き止めることも重要で、特にクローン病などの疾患などがないのか、気になる症状がある場合は、検査をすることをオススメします。

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