Inguinal hernia Eye-catching image

 

腹部ヘルニアには様々な種類があり、その中でも最も高頻度に起こるヘルニアが、鼠径ヘルニアです。

今回は、この鼠径ヘルニア(読み方は「そけいへるにあ」・英語表記で「Inguinal hernia」・別名「脱腸」)について

  • 何科を受診するのか
  • 分類
  • 症状
  • 治療
  • 再発はするのか

など、詳しくご説明したいと思います。

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鼠径ヘルニアとは?

腹部腸管などの内臓が、本来あるべき位置から脱出しているものをヘルニアといいますが、それが鼠径部(足の付け根)で起こる(左右それぞれで起こる可能性がある)のが鼠径ヘルニアです。

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腹部のヘルニアというと、

  • 鼠径ヘルニア
  • 大腿ヘルニア
  • 骨盤ヘルニア
  • 会陰ヘルニア
  • 坐骨孔ヘルニア
  • 正中腹壁ヘルニア
  • 臍ヘルニア
  • 腹壁瘢痕ヘルニア

と種類があります。

その中でも、鼠径ヘルニアは腹部ヘルニアの80〜90%という大部分を占めます。

小児、特に乳幼児期の男児または壮年期以降の男性に好発します。

鼠径ヘルニアは病院の何科を受診する?

外科を受診しましょう。

その中でも大人の場合は、消化器外科がベストです。
部位から泌尿器科に行かれる方も多いようですが、男性も女性も消化器外科です。

子供の場合は、小児科を受診することも多いかと思いますが、鼠径ヘルニアを疑われる場合は、小児外科を受診しましょう。

鼠径ヘルニアの分類は?

鼠径ヘルニアは、外鼠径ヘルニア内鼠径ヘルニアに分類されます。

医師
それぞれについてご説明します。

外鼠径ヘルニア

内鼠径輪から外鼠径輪を通って皮下に腸が脱出したものをいいます。

小児のほとんど全ては、この外鼠径ヘルニアです。

また成人の鼠径ヘルニアでも70%を占めます。

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イヤーノート 2017: 内科・外科編 鼠径ヘルニアを参考に作図。

内鼠径ヘルニア

Hesselbach三角(ヘッセルバッハ)という抵抗性の弱い部分がヘルニア門(穴)となり、そこから鼠径管に入り込み、外鼠径輪へ腸が脱出したものをいいます。

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イヤーノート 2017: 内科・外科編 鼠径ヘルニアを参考に作図。

成人の約20%がこの内鼠径ヘルニアにあたり、中高年男性に好発します。

外鼠径ヘルニアと内鼠径ヘルニアの違いは、英語で表記すると分かりやすく、内鼠径をdirect=直接・外鼠径をindirect=間接的と、その名の通り・・・

内鼠径輪を通って脱出してるどうかです。

※鼠径ヘルニアはこの2種類とも外ヘルニアに分類されます。
外ヘルニアについてはこちらに詳しくまとめました。→外ヘルニアとは?分類・症状は?内ヘルニアとの違いは?

鼠径ヘルニアの症状は?痛みがある?

初期症状(ヘルニアが出始め)として、

  • 違和感
  • 重苦しい感じ
  • ズキズキ疼くように痛む感じ(疼痛)

など、患部に感じる症状があります。

また、腹圧に大きく影響され、立位だと鼠径部に膨隆・腫脹が確認できますが、臥位(寝た状態)だと確認できません。

その他、大腸脱出による便秘膀胱脱出による排尿障害などの症状が出ることもあります。

鼠径ヘルニアの治療は?

自然治癒は期待できません

鼠径ヘルニアの治療は基本的に手術適応になります。

鼠径ヘルニアの手術

手術はヘルニア門を閉鎖し、鼠径管後壁の補強することが目的となります。

その方法として、前方アプローチ後方アプローチという術式があり、自己組織を縫合しておこなう組織縫合法と、パッチやメッシュなどの人工補強材を使ったメッシュ法(tension-free法)があります。

手術には開腹手術腹腔鏡手術があり、

  • 開腹手術では、前方アプローチであるMesh-plug法・Lichtenstein法・Bilayer法・Direct Kugel法、後方アプローチであるKugel法
  • 腹腔鏡手術では、後方アプローチであるTAPP・TEP

があります。

  • 組織縫合法では、前方アプローチでおこなう、McVay法・iliopubic tract repair法・Marcy法

がありますが、組織縫合法は、腸管の切除が必要な場合や汚染によりメッシュの留置が難しい場合に選択されます。

鼠径ヘルニアの手術の中では、Mesh-plug法という術式が、日本では最も多く施行されています。

Mesh-plug法
プラグとメッシュで補強する方法で、前方アプローチでおこない、術後の痛みやつっぱり、再発の少ない手術です。

 

医師
手術の手順はこちらをご覧ください。

 

鼠径ヘルニアが再発することがある?

鼠径ヘルニアが再発してしまうことも、中にはありますが、基本メッシュ法は従来の方法に比べて再発は少ないといわれています。

ただし、再発すれば再手術が必要となります。

再発予防としては、腹圧をかけないことが重要で、

  • 食べ過ぎ
  • 飲み過ぎ
  • 便秘改善
  • 肥満予防
  • 禁煙

などで普段の生活を見直すことで予防しましょう。

最後に

  • 鼠径部で、腹部腸管などの内臓が、本来あるべき位置から脱出したものを鼠径ヘルニアという
  • 外科の中でも消化器外科を受診するのがベスト
  • 外鼠径ヘルニア・内鼠径ヘルニアに分類される
  • 内鼠径輪を通って脱出してるどうかで、外鼠径ヘルニアか内鼠径ヘルニアか分類される
  • 初期症状として、違和感・重苦しい感じ・ズキズキ疼くように痛む感じがある
  • 自然治癒は見込めないため、手術が基本
  • 再発すれば、再手術が必要
  • 腹圧をかけない、食事・生活が大切

 

中には鼠径部に違和感を数回感じただけで、その後症状が出なければ鼠径ヘルニアと気付かず放置してしまうことがあります。

ただ、痛みが出たものを放置すると血流障害が起こり、さらなる悪化を招くことにもなりかねません。

きになる症状がある際には、早めに外科を受診しましょう。

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