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頭部外傷によって起こる骨折の中で脳の側頭部に起こる側頭骨骨折(読みは「そくとうこつこっせつ」英語表記で「Temporal bone fracture」とはどのようなものなのか?今回はこの側頭骨骨折について

  • 症状(縦骨折・横骨折)
  • CT画像診断及び評価する点
  • 治療法

をイラストと実際の頭部CT画像を見ながら、わかりやすく解説しました。

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側頭骨骨折とは?

側頭骨骨折は、別名「錐体骨骨折」とも呼ばれます。頭部に強い衝撃を受けたことで、側頭部を骨折してしまったもので、外傷の強度によって障害度合いも大きく異なります。

Temporal bone

この側頭部は、聴覚や平衡感覚、顔面神経など様々な神経が密集する部位なので、そこに障害を受けると様々な神経症状が現れます。

側頭骨骨折の症状は?

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衝撃を受けた時の強度や角度により、軽症から重度なものまで、様々です。

医師
骨折の角度により、横骨折と縦骨折に分けられ、以下のような症状が現れます。

横に骨折をおった場合(横骨折)

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  • 顔面麻痺
  • 目眩
  • 難聴

骨折線が錐体稜を横切り、骨折線が内耳および内耳道にかかるため内耳と内耳道を損傷します。骨折は内耳道内側端に達するもの、前庭を通るものがあります。

感音難 聴・高度の顔面神経麻揮・末梢前庭性めまいなどの症状をが現れ、直接顔面神経損傷の 頻度は40~50%と、縦骨折より多いものとなっています。

縦に骨折をおった場合(縦骨折)

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  • 鼓室内出血
  • 伝音難聴
  • 耳鳴り
  • 顔面神経痛

骨折線が錐体稜に沿って走り、側頭骨鱗状部・乳突部外耳道から錐体部に向 かいます。骨折線が鼓室を通るために、中耳が障害されやすい特徴があります。

耳小骨離断をしばしば伴い、鼓膜の裂傷や鼓室内出血などによって、伝音性難聴を来たします。縦骨折に伴う伝音難聴の原因として、鼓室内液体貯留と耳小骨離断があります。

耳小骨離断の場合は持続性難聴の原因として重要です。耳小骨離断としてはキヌタ骨の偏位によるキヌタ・ アブミ関節の解離が最も多くなっています。顔面神経麻痺は10~40%に見られ、膝神経節部でのfacialcanalの骨折浮腫などによって出現します。

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側頭骨骨折の診断は?

臨床症状や、原因となる外傷が合った場合、頭部CT、中でも側頭骨にフォーカスを絞った撮像(側頭骨CT)で診断します。

医師
頭部CTでは以下の点をチェックして評価します。
  • 顔面神経損傷
  • 外耳道出血
  • 鼓膜穿孔
  • 耳小骨離断
  • 内耳障害
  • 外傷性耳性髄液漏
  • 前庭障害
  • 外リンパ瘻

発症初期には骨折線に沿った液体貯留および粘膜肥厚などを認めます。鼓室・乳突 峰巣領域での異常軟部濃度の有無や、これに沿った骨折線の存在を評価します。

伝音難聴・ 耳小骨離断・感音性難聴などがある場合、内耳・内耳道を横切る骨折線の評価が重要で、髄液漏がある場合は円蓋部骨折の確認を行います。顔面神経麻陣では顔面神経管を横断する骨折線の有無を確認します。

医師
このように、骨折線によって様々な症状が出るため、その評価が大切です。

硬膜下血腫や硬膜外血腫などの出血が起こっていないか、気脳症がある場合は感染を合併してこないかなどを頭部CTや血液検査で調べ、外傷時だけでなく経過を観察していく必要があります。

症例 20歳代女性 交通外傷

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右側の乳突蜂巣に一部含気不良を認めています。錐体骨の長軸に直行方向に近い方向に骨折線(横骨折)を認めています。

70歳代 男性 飲酒後自己転倒

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右側頭骨に錐体骨の長軸に沿う方向に骨折線あり。縦骨折を疑う所見です。乳突蜂巣の含気が不良で、液貯留を認めています。

40歳代女性   頭部外傷、顔面神経麻痺あり。

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右側頭骨に錐体骨の長軸に沿う方向に骨折線あり。縦骨折を疑う所見です。乳突蜂巣の含気が不良で、液貯留を認めています。また、鼓室内に一部含気不良あり、顔面神経鼓室部に接しており、顔面神経損傷が疑われます。

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側頭骨骨折の治療法は?

まずは、絶対安静となります。そして、診断結果を元に、症状に合わせた治療法が行われます。

医師
治療は以下のように行われます。

保存療法

軽度な場合は、保存療法を基本とし、入院し安静を徹底した上で、以下のような薬が使用されます。

  • 副腎皮質ステロイド薬
  • 止血薬
  • アデノシン三リン酸(ATP)
  • 血管拡張薬
  • ビタミン剤

鼓室内液体貯留の場合は、3~4週程度で吸収されます。

手術療法

安静にしても症状が改善しない場合(髄液漏・顔面麻痺・難聴などの症状がある)には手術が行われます。この手術は、半年~1年の経過観察後に行うこともありますが、緊急を要する症状の場合は早期に行われます。

最後に

  • 別名「錐体骨骨折」とも呼ばれ、頭部に強い衝撃を受けたことで、側頭部を骨折した状態
  • 頭部に衝撃を受けた時の強度や角度により、軽症から重度なものまで、様々
  • 聴覚神経や平衡感覚神経、顔面神経など、様々な神経症状が現れる
  • 画像診断によって骨折の部位や程度、脳への影響はないか調べる
  • 保存療法が基本で、改善しない場合や緊急を要する症状がある場合はは手術を行う

 

怪我の程度や場所によっても入院期間は異なりますが、保存療法の場合一般的に2週間前後の入院となることが多いようです。しかし、症状が続く場合には、入院の延期や通院が必要になり、さらなる治療の検討が行われます。

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