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リンパ種というと、体の全部、どの場所にも出来る可能性のある腫瘍ですが・・・今回は頭蓋内にできる悪性リンパ腫(英語表記で「Malignant lymphoma」)について

  • 原因
  • 症状
  • 診断
  • 治療法

をご説明したいと思います。

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悪性リンパ腫とは?

頭蓋内に発生するリンパ性の悪性腫瘍です。中枢神経系原発リンパ腫(PCNSL)と、転移性のものとに分類されますが、中枢神経系原発リンパ腫が悪性リンパ腫の大部分を占めます。

好発年齢

50歳以上の男性に多く好発します。

好発部位

  • 前頭葉
  • 側頭葉皮質下
  • 小脳

に好発します。

それ以外にも、脳梁、基底核部、脳室周辺、大脳半球深部にも発生することがあり、脳脊髄液腔内での転移や多発も多く見られます。

悪性リンパ腫の原因は?

発生の詳しいメカニズムは不明です。

医師
ですが、以下のことも影響としてあるのでは?と考えられています。
  • 免疫抑制剤の投与
  • 悪性腫瘍
  • HIV感染などによる免疫機能不全
  • EBウイルス
医師
HIVとEBウイルスについてご説明します。
HIVとは?

血液、精液、膣分泌液、母乳などを介して感染するヒト免疫不全ウイルスで、免疫力を低下させます。Tリンパ球などに感染し、増殖すると、免疫機能が著しく低下し、様々な病気を発症して代表される23疾患を発症した時点でAIDS(エイズ)となります。

 

EBウイルスとは?

ヘルペスウイルスの一種で、唾液を介して感染し、発熱、リンパ筋腫脹、咽頭炎などを発症します。また、髄膜炎、脳炎、ギラン・バレー症候群などの合併症も見られます。

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悪性リンパ腫の症状は?

発生部位に応じた局所症状を示します。しかし、様々な場所に発生し、進行が非常に早いため症状は多彩です。

医師
部位別に現れる症状をご説明します。

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大脳半球に発生した場合の症状

脳局所症状として

  • 麻痺
  • 失語

などが現れます。また、精神症状として

  • 記銘力障害
  • 人格変化

などが現れます。それ以外にも、

  • 脳神経麻痺
  • ぶどう膜炎

などが現れることもあります。

 

ぶどう膜炎

眼の中に炎症を起こす病気の総称で、眼のかすみ、飛蚊症(ひぶんしょう)、視力低下、眼痛、眼血、充血などの症状が見られます。

 

脳幹・中脳水道・大脳基底核に発生した場合の症状

頭蓋内圧亢進症状による

  • 頭痛
  • 嘔吐
  • うっ血乳頭

などが現れます。

小脳・第4脳室に発生した場合の症状

上記同様、頭蓋内圧亢進症状が現れます。

悪性リンパ腫の診断は?

CTやMRI検査、脳脊髄液検査や病理組織検査を行い診断します。

医師
それぞれについてご説明します。

CT検査

脳室周囲に発生することが多く、等吸収から高吸収を示します。

MRI検査

T1強調像では低信号で、T2強調像では高信号を示します。拡散強調像(DWI)で著明な高信号を認めることが多いです。

また、造影検査では均一に増強されます。多発性増強効果の場合は、膠芽腫よりもリンパ腫が強くうたがわれます。また、壊死や出血、石灰化は稀です。

 症例:50歳代男性

1か月前から物忘れしやすいことに家族が気付き、来院。

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(出典:2006年放射線科診断専門医試験問題16)

T2強調像で淡い高信号を示す腫瘍が、脳梁を介して左右対称性に進展が確認でき、著明に均一に造影されていることが分かり、典型的な悪性リンパ腫の所見です。

医師
脳梁を介して左右に広がる脳腫瘍としては、悪性リンパ腫と膠芽腫が有名です。

脳脊髄液検査

頭蓋外からの転移ではなく、頭蓋内原発であることを鑑別するため、骨髄穿刺による全身検索が必要です。髄液中のβ2ミクログロブリンが高値です。

病理組織検査

脳実質や血管の周囲に浸潤した大型の腫瘍細胞が確認できます。

悪性リンパ腫の治療法は?

医師
化学療法や放射線療法を行います。

大量メトトレキサート(MTX)の投与放射線療法(放射線を全脳に照射)が、標準治療となります。

また、進行が早く、再発しやすい傾向にあるため、5年生存率は20%と厳しい数値になっています。しかし、3年間再発しなければ、再発率は非常に下がるため、完治したとみなされます。

最後に

  • 頭蓋内に発生するリンパ性の悪性腫瘍
  • 中枢神経系原発リンパ腫(PCNSL)と、転移性のものとに分類される
  • 中枢神経系原発リンパ腫が悪性リンパ腫の大部分を占める
  • 発生の詳しいメカニズムは不明
  • 発生した部位別局所症状が現れるが、様々な場所に発生し、進行が非常に早いため症状は多彩
  • CTやMRI検査、脳脊髄液検査や病理組織検査を行い診断する
  • 大量メトトレキサートの投与と放射線療法が、標準治療

 

化学療法と放射線療法で、70〜80%程度の人で腫瘍は著しく縮小するという報告があります。しかし、生存期間中央値は1年少々です。余命は、この治療の効果とステージに左右されますが、治療をしなかった場合の生存期間中央値は2〜3ヶ月です。

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