オメガ3が成人病予防にいいと聞いたのですが、詳しい効果や効能を教えてください。

オメガ3脂肪酸は必須脂肪酸と呼ばれるもののひとつで、体によいとテレビなどでも話題ですよね。

今回はそんなオメガ3脂肪酸について

  • オメガ3脂肪酸の効果・効能はどんなものがあるの?
  • 摂りすぎることで副作用はないの?
  • オメガ3脂肪酸の摂取量はどれくらいがいいの?
  • オメガ3脂肪酸が多く含まれる食品にはどんなものがあるの?

というあなたの疑問を解決するべくわかりやすくまとめてみましたよ。

 

これを読めばオメガ3についてはバッチリです!

最後までご覧くださいね。


オメガ3脂肪酸の効果・効能とは?

 

今はやりのオメガ3脂肪酸にはどんな効果や効能があるんですか?

厚生労働省によると、オメガ3脂肪酸(n‒3系脂肪酸)の効果や効能には、以下のようなものがあります。1)

  • 血中中性脂肪値の低下
  • 不整脈の発生防止
  • 血管内皮細胞の改善
  • 血栓防止作用
  • アトピー性皮膚炎の改善
  • うつ病の予防

これだけでは少しわかりにくいですよね。

それぞれについて詳しく説明しましょう。

血中中性脂肪値の低下

 

血中中性脂肪値の低下によって予防できる疾患は

  • 脂質異常症(高脂血症)
  • 動脈硬化
  • 急性すい炎

です。

中性脂肪というのは、肉や魚、食品に含まれる脂質・体脂肪などに含まれるものです。

この中性脂肪が血液中に150mg/dl以上含まれるとメタボリックシンドロームの診断基準でもある「高トリグリセライド血症」と診断されます。

また、善玉コレステロールとも呼ばれているHDLコレステロールの値もメタボリックシンドロームの診断基準です。

このHDLコレステロール値が40mg/dl未満、中性脂肪値が150mg/dl以上になると「脂質異常症」(高脂血症)と診断されます。

そして、中性脂肪が多いことで引き起こされると言われている疾患は以下です。2)

  • 動脈硬化
  • 急性すい炎
急性すい炎は怖いですね・・・。
医師
急性すい炎は、極端に中性脂肪が多い場合に引き起こされやすくなる疾患です。

怖がりすぎる必要はありませんが、できるだけ中性脂肪を減らす努力は大切ですね。

 

中性脂肪についてはこちらの記事もどうぞ
中性脂肪(TG)とは?基準値は高い・低いと問題?

不整脈の発生防止

 

不整脈とは、脈の打ち方がおかしくなることです。

その症状には

  • 頻脈(脈が早すぎる)
  • 徐脈(脈が遅すぎる)
  • 脈が飛ぶ
  • 脈が不規則

といったものがあります。

不整脈は、心臓病の場合にも起こりますが、年齢とともに増えてストレスや睡眠不足・疲労などでも起こりやすくなるもので、誰にでも起こりうる症状です。

脈が早くなりすぎると吐き気や冷や汗・意識が遠くなったり、脈が遅すぎるとめまいや息切れ・意識障害が起こることもあります。3)

医師
年齢とともに増えるものだとはいえ、不整脈が防げるというのは嬉しい効果ですよね。

血管内皮細胞の機能改善

血管内皮細胞の改善によって予防できる疾患は

  • 脳梗塞
  • 心筋梗塞
  • 高血圧

です。

血管は、内膜・中膜・外膜からなっており、血液に直に接しているのが内膜となります。

この内膜を構成しているのが血管内皮細胞です。

血管内皮細胞から血管を弛緩させる物質(一酸化窒素)が放出されていることがわかっています。

一酸化窒素(NO)には血管の収縮・拡張をコントロールして、血圧や血液の体内分布を調整する役割があり、さらに血栓の形成を防ぐ機能もあります。4)

血管内皮細胞が改善されることで、血圧の正常化や血栓の予防ができるということは、脳卒中や心筋梗塞の予防にもなるということです。

血栓防止作用

血栓防止作用は、上記の血管内皮細胞のところにもありますが、さらにオメガ3脂肪酸自体に血液サラサラ効果があります。

なぜオメガ3脂肪酸を摂ると血液がサラサラになるのかというと、不飽和脂肪酸であるからです。

脂質には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。

 

飽和脂肪酸は、ラードやバター・牛脂といった動物性の脂肪に多く含まれています。

この飽和脂肪酸は、常温で固まるのが大きな特徴ですので、血液中でも固まりやすく血液をドロドロにしてしまうのです。

このため、血液中のコレステロールが増え、血栓ができやすくなります。5)

 

一方、魚類や植物に多く含まれている不飽和脂肪酸は、体内でも液体であるというのがポイントです。
血管内でもサラサラと液体として流れることで血栓ができにくくなります。

アトピー性皮膚炎の改善

また、このオメガ3脂肪酸が不足すると皮膚炎などが発症するとも言われています。1)6)7)

そのため、アトピー性皮膚炎の補助療法としても有効であることが確認されているのです。8)

 

うつ病の予防

オメガ3脂肪酸の中でも、魚に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)にはうつ病のリスクが低下するという研究があります。9)

オメガ3脂肪酸とうつ病との詳しいメカニズムは解明されていませんが、オメガ3脂肪酸の抗炎症効果・免疫調整・神経伝達物質の調整・神経保護などの様々な作用によってうつ病リスクが下がるのではないかと言われています。

研究では、魚を一日に57g(中央値)摂取するグループと111g(中央値)食べるグループを比較すると、一日に111g魚を食べるグループの方がうつ病リスクが低かったそうです。

オメガ3脂肪酸は大きく分けて、主に魚に含まれるDHA・EPAと植物に含まれるαリノレン酸があります。

DHA・EPA以外のオメガ3脂肪酸にはうつ病リスクの低下の効果について、明らかな関連はなかったとのことです。

医師
3種類のオメガ3脂肪酸をバランスよく摂ることで生活習慣病からうつ病まで様々な疾患を予防することができるんですよ。

これだけすごい効能があると副作用が心配という方もいらっしゃるかもしれませんね。

次の章で副作用についてみていきましょう。

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副作用はないの?

オメガ3脂肪酸の効果や効能には素晴らしいものがあることがわかりましたが、副作用の心配はないのでしょうか。
医師
とくに心配はないですが、以下のことに注意が必要です。
  • 肥満
  • 魚類の場合は重金属やダイオキシンに注意

では、それぞれについて詳しく見てみましょう。

肥満

オメガ3脂肪酸は、油脂ですので、カロリーが高いです。
もちろん健康にいいからと、過剰に摂取しすぎると肥満につながります。

魚類の場合は重金属・ダイオキシンに注意

また、オメガ3脂肪酸には、シソ油や亜麻仁油などの植物性の油脂と魚類に含まれるDHAやEPAがあります。

この魚類にはオメガ3脂肪酸が含まれる一方で、水銀・カドミウム・ダイオキシンなどの有害物質も含まれているため、魚類の過剰摂取は控えましょう。

とくに妊婦さんについては、胎児の中枢神経の発達に影響を及ぼす可能性がありますので注意が必要です。10)

オメガ3脂肪酸はどれくらい摂取したらいいの?

厚生労働省の『日本人の食事摂取基準』によると、成人の場合、オメガ3脂肪酸は1日あたり約2g前後です。

下の表をご覧ください。11)

男性 女性
0〜5(月) 0.9 0.9
6〜12(月) 0.8 0.8
1〜2(歳) 0.7 0.8
3〜5(歳) 1.3 1.1
6〜7(歳) 1.4 1.3
8〜9(歳) 1.7 1.4
10〜11(歳) 1.7 1.5
12〜14(歳) 2.1 1.8
15〜17(歳) 2.3 1.7
18〜29(歳) 2.0 1.6
30〜49(歳) 2.1 1.6
50〜69(歳) 2.4 2.0
70(歳)以上 2.2 1.9
妊婦・授乳婦 1.8

女性は男性よりも若干少なめですが、成人であれば約2g程度でよいでしょう。

また、上記でも述べましたが、欠乏すると皮膚炎を起こすことがありますので注意が必要です。
とくにEPA・DPAについては1g/日と下限も設けられています。

乳幼児の場合は1g前後、小学生以降は1.5g前後になります。
お子さんの、アトピー性皮膚炎などの症状が気になる場合は、とくに気をつけて摂取させてあげたいですね。

オメガ3脂肪酸は何に含まれるの?

 

オメガ3脂肪酸を効率よく摂るには何を食べるといいのでしょうか?

オメガ3脂肪酸とは、青魚などに豊富に含まれているDHAEPA、また、主に植物に含まれているαリノレン酸の総称になります。

これらは必須脂肪酸のひとつなのですが、体内で生成できないために食事などで摂取する必要があるのです。

では、それぞれに多く含まれる食品を紹介しますね。12)13)

食品 オメガ3脂肪酸含有量
DHA クロマグロ脂身(3200mg/100g) 5.81g/100g
筋子(2400mg/100g) 5.83g/100g
 ぶり(1700mg/100g) 3.35g/100g
さば(970mg/100g) 2.12g/100g
EPA マイワシ(780mg/100g)  2.10g/100g
 クロマグロ脂身(1400mg/100g) 5.81g/100g
 さば(690mg/100g)  2.12g/100g
 ぶり(940mg/100g) 3.35g/100g
αリノレン酸 えごま油  58.31g/100g
アマ二油 56.63g/100g

※()内はそれぞれDHAとEPAの含有量です。

この中では、えごま油や亜麻仁油がダントツで含有量が多いのですが、あくまでも100gあたりの含有量になります。

一日の目安摂取量の2gに換算すると少なくなりますが、毎日まぐろを食べるのはなかなか難しいので、手軽に毎日摂れるえごま油を少しずつ取り入れるのがオススメです。

もちろん、魚にはえごま油やあまに油などにはないDHAやEPAが大量に含まれていますので、魚を食べる頻度を増やしつつ、えごま油などでしっかりオメガ3脂肪酸を摂っていきましょう。

普段の食事にこれらの食品を少しずつ取り入れて、年齢を重ねてもずっと若々しく健康でいたいものですね。

 

オメガ3が多く含まれる食品や効果的な食べ方についてはこちらもどうぞ〜♪
オメガ3はどんな食品に含まれる?含有量や効果的な食べ方を徹底伝授

 

参考
1)厚生労働省 3 脂質 P85
2)厚生労働省 e ヘルスネット 脂質異常症
3)国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス (6)怖い不整脈と怖くない不整脈
4)花王健康科学研究会 血管内皮機能の維持・改善の重要性
5)NIPRO すこやかネットvol.3ガンに匹敵する血栓症の引き金「血液ドロドロ」に要注意
6)Bjerve KS. n‒3 fatty acid defi ciency in man. J Intern Med Suppl 1989; 731: 171‒5.
7)Holman RT, Johnson SB, Hatch TF. A case of human linolenic acid defi ciency involving neurological abnormalities. Am J Clin Nutr 1982; 35: 617‒23.
8)皮 膚 ・第37巻 ・第1号 ・平成7年2月 P153 ア トピー 性 皮 膚 炎 患 者 に対 す るn-3系 多 価 不 飽 和 脂 肪 酸 含 有 食 品 イパ オ ー ル の追 加 摂 取 の検 討
9)国立研究開発法人国立研究開発法人国立がん研究センター社会と健康研究センター予防研究グループ魚介類・n-3不飽和脂肪酸摂取とうつ病との関連について
10)厚生労働省魚介類に含まれる水銀について
11)厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要 P11
12)農林水産省 だからお魚を食べよう(1)
13)文部科学省食品データベース

最後に

今回の内容をまとめます。

  • オメガ3脂肪酸の効果・効能
    • 血中中性脂肪の低下
    • 脂質異常症
    • 動脈硬化
    • 急性すい炎
    • 不整脈
    • 血栓防止
    • 脳卒中
    • 心筋梗塞
    • 高血圧
    • アトピー性皮膚炎の改善
    • うつ病の予防
  • 副作用はないが摂りすぎによる肥満や魚類の場合は重金属・ダイオキシンに注意
  • オメガ3脂肪酸の摂取量は一日に小さじ1杯程度
  • オメガ3を多く含む食品はマグロの脂身・筋子・ブリ・鯖・マイワシ・えごま油・亜麻仁油

オメガ3脂肪酸は、青魚に良く含まれているDHAEPAαリノレン酸を含む体にいい油です。

しかし、カロリーが高い油ですので、適正な摂取量に抑えておく必要がありますね。

動脈硬化などの成人病を予防・改善が期待できるオメガ3脂肪酸を、上手に食生活に取り入れて、健康的な生活に役立てましょう。





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